水槽
メダカは丈夫な魚ですので、水が漏れない容器であればどんなものでも大丈夫です。重要な事は、メダカの匹数に見合った容器を準備する事です。水量は1リットルに1匹を目安にしましょう。例えば10匹のメダカを飼育する場合は、10リットル以上入る容器を準備してください。
過密飼育をすると成長が遅れたり、繁殖率が落ちたり、酸欠や水質悪化の原因ともなります。容器が大きすぎる事に問題はありませんので、なるべく大きめの容器で飼育しましょう


底砂利
水槽の底に底砂利を敷く事をオススメします。底砂利は水槽を綺麗に演出するためだけではな く、バクテリアなどの微生物のすみかとして重要です。底砂利に繁殖したバクテリアは、餌の食べ残しやメダカの排泄物から出る毒性の強いアンモニアを分解 し、ほぼ無害な硝酸塩に変えます。つまり、バクテリアは水質の安定と浄化には欠かせない微生物になります。  底砂利を選ぶ際、なるべく角の無い丸 みを帯びたものを使用してください。メダカは驚いた時に地中へ潜ろうとしますが、その時に角張った砂利の場合、怪我をするおそれがあります。底砂利の他に 赤玉土やメダカ用のソイルなども販売されていますので、好みにあったものを選ぶとよいでしょう。


水草
メダカにとって水草は隠れ場所や産卵場所になったりします。また、日中は光合成により酸素 を供給してくれたり、水を浄化する作用もありますので、なるべく水草は入れてください。メダカの飼育でよく見られるものはホテイアオイやアナカリスなどが あります。ホテイアオイの根は水中の余分な栄養分などを吸収し水を浄化してくれたり、夏場の日除け、水温上昇の防止など大変重宝されます。また、メダカの 産卵場所としても最適で、夏場の採卵には多くの方が利用しています。ただし、根が伸び過ぎると、メダカに絡まり抜け出せなくなるので、ある程度根が伸びて きたらカットしてください。ホテイアオイが増えすぎると、夜間に二酸化炭素の量が増えてメダカが酸欠になり死亡する事があります。水量に対してホテイアオ イが入りすぎていないか注意してください。余談ですが、ホテイアオイの名前は、葉の基部の 膨らみ部の膨らみが、七福神の布袋様のおなかに例えられ付けられた名前のようです。 アナカリスは育成が容易で、安価で購入しやすく、多くの方に利用されています。池や川でよく見られる水草ですので、採取して利用するのもよいでしょう。た だし、自然に生えているものには、寄生虫や雑菌が混入している事も考えられますので、殺菌をしてから水槽に入れるようにしましょう。また、購入した水草に も同じよう場合がありますので、よく洗ってから利用してください。


飼育場所
水槽を置く場所は、できるだけ日当たりの良い場所に置きましょう。太陽光には殺菌作用があ り、メダカが丈夫で健康な状態を維持でき、病気にかかりにくくなります。また繁殖力の増加や、色揚げにも良いと言われています。その点から言うと、メダカ を飼育するのは屋外飼育が理想です。しかし、夏場に太陽光が当たり続けると水温がかなり高温となりますので注意が必要です。よしずを半分かけて影を作るな どの対策をしましょう。  室内飼育は、ガラス水槽等でいつでも好きな時にメダカを鑑賞できるのが魅力ですが、どうしても光が不足します。光不足はビタミンDの欠乏をもたらし、メ ダカが病気にかかりやすくなります。室内飼育の場合は光を補給するという意味でも、蛍光灯を使用してください。


飼育水
メダカを飼育する上で大切なものの1つが水です。めだかの館では、地下水をくみ上げて使用 していますが、一般家庭では水道水を使う場合が多いと思います。そこで注意が必要なのがカルキです。水道水には殺菌のために塩素が使用されています。この水道水に含まれる塩素がメダカにとって害のあるものとなります。水道水の塩素を抜くには、屋外で約24時間、室内の場合は2〜3日水を汲み置きしておく と、自然に水中から塩素が抜けます。また、汲み置き水を常に溜めておけば、水温も気温と同じくらいになり、水換えに使用する際にも好都合です すぐに水道水を使う場合には、市販のカルキ抜きを使用してください。飼育に使う水道水、または地下水にしても、地域によってはphに問題がある場合がある ようです。あらかじめ市販のphなど測定する検査薬で調べておくと安心です。 phとは水中のイオン濃度の度合いを示すもので、ph7が中性、それより数値が下がると酸性、上がるとアルカリ性となります。メダカの飼育には弱酸性〜弱 アルカリ性の範囲内での飼育が理想です。phは飼育環境によって変わってきます。飼育水は飼育を続けるにつれ酸性に傾いてきます。あまりにもphが低下す ることは、メダカにとっては害になります。 また、メダカをいきなりphや水温などに差がある水に移したりすると、phの急変で体調を崩す可能性があります。 そのため、メダカを購入された場合や違う水槽に移動させたりする場合には、水合わせをしっかりと行ってください。小さめの容器に、もともといた水槽の飼育 水と一緒にメダカを入れ、新しく入れようとする水槽にしばらく浮かべておき、水温を同じにします。そして、新しい環境の水を少しずつ入れて、ゆっくりと新 しい環境に慣らしていきます。これをすることにより、水質や水温の急激な変化を防ぎます。


グリーンウォーター
水中で植物性プランクトンが発生し、緑色に見える水をグリーンウォーターと呼びます。この グリーンウォーターがメダカの育成にとても効果的で、特に稚魚の育成には最適な水となります。作り方は容器に水をためて、よく日光の当たる場所に置いてし ばらくすると、自然とグリーンウォーターになります。


エサ
人に慣れているメダカは、近づくと勢いよく人間の方に近寄ってきます。これは飼育者がきち んと餌を与えている証拠で、とても大事なことだと思います。メダカは雑食性ですのでプランクトン、ミジンコ、ボウフラ、植物、小さな昆虫など、いろいろな ものを食べ、自分が産んだ卵や稚魚までも食べてしまいます。家で飼育をする場合は市販の餌が便利でオススメです。メダカは口が上向きについていますので、 基本的には水面に浮いているエサを食べます。逆に水底にあるものを食べるときは逆立ちをしなければなりません。なるべく浮上性の良いエサを与えてくださ い。水質の悪化を防ぐことにもつながります。1回に与える量の目安は、3分〜5分位で食べきれる量を与えてください。食べ残しが出ると、それだけ早く水質 も悪化します。 メダカの活性やメダカの数により与える量は変わりますので、普段の餌やりで観察しながら調整してください。与える回数ですが、夏場はよく活動をしますので 最低でも1日に2回、春や秋は1日に1回は与えてください。エサを与えすぎてしまうと、食べ残しが腐敗し、水質の悪化につながります。最悪の場合は死に至 ることもあります。逆に、エサの量が少なくてメダカが死んでしまうことは、ほとんどありません。さらにメダカには胃袋と呼べる臓器が無く、食いだめができ ません。従って、たくさんのエサを食べても、蓄えておく機能が無いということです。以上のことから、1回に与える量を少なくして、できる限り回数を多く与 える、というやり方が1番メダカにとっては良いと言えます。屋外飼育の場合、冬場は水温が下がりメダカの活動は鈍くなります。冬眠に近い状態になる為、餌 を与える必要はありません。エサを与えても水面に上がって来なくなったら、餌やりを止めるサインです。人工のエサ以外にもミジンコ、糸ミミズ、赤虫、ブラ イシュリンプなどの生餌もよく食べます。これらの生餌は人工餌に比べ手が掛かり、価格も高くなりますが、栄養価が高くメダカの成育にはとても良いエサです。


水替えの重要性
メダカにとって水は命です。水質の悪化はメダカが病気になったり、死亡する大きな要因となります。そうなる前に定期的に水換えを行い、綺麗な状態を保つよう心がけましょう。水を汚す1番の原因は、メダカの排泄物とエサの食べ残しです。このメダカの糞やエサの食べ残しが水中で有害な物質アンモニアへと変化し、蓄積されていきます。そこで活躍してくれるのが、水中に存在するバクテリアなどの微生物です。バクテリアは底床やろ過器の中のろ材やスポンジなどをすみかとします。 このバクテリアの働きによりアンモニアを分解してくれます。 しかし、バクテリアの繁殖にはある程度時間がかかりますので、水槽をセットしたての初期段階は注意が必要です。見た目は澄んだ透明な水であっても、実際にはアンモニアが蓄積されているということもあります。できる限り食べ残しが出ないようにエサを与え、こまめに水換えを行いましょう。 上にも書きましたが、バクテリアはアンモニアを分解して、ほぼ無害な硝酸塩へと変えます。硝酸塩は少量であれば害はありませんが、蓄積されることによりメダカに害を与えるようになってきます。水草が入っている場合は、、栄養分として一部は吸収されますが、水換えによる排出も必要となります。つまり、バクテリアが十分に繁殖している状態でも、定期的な水換えは必要となります。


水替えの回数と方法
水換えの頻度と度合いは、メダカの数や水槽の大きさ、バクテリアなどの微生物の繁殖状況、季節などによって変わりますが、目安として1週間に1回、1/3〜1/4の水を交換してください。メダカは変温動物ですので水温によって活動が違ってきます。冬場の水温が低い時には、メダカはほとんど活動をせず、エサも食べないため、排泄物が少なく水質が悪くなる可能性は少なくなります。よって、冬場は水換えをする必要はほとんどありません。


オスとメスの違い
メダカ飼育での大きな楽しみの1つが、メダカの繁殖です。メダカは条件さえ整えば簡単に卵を産み、殖やすことができます。メダカの繁殖を楽しむためには、まず、オスとメスの違いを覚えて、見分けができるようになりましょう。
オスメスの判別は背ビレとしりビレの形で見分けることができます。オスは、しりビレがメスより大きく、平行四辺形のような形をしています。それに比べメスは、しりビレが小さく台形のような形をしています。 またオスには背ビレの付け根部分に切り込みが入っています。メスには背ビレに切り込みが入っていません。しりビレを見て分かりづらい場合は、背ビレを見て判断しましょう。 ダルマメダカの場合もオスメスの見方は同じですが、馴れるまで若干難しいかもしれません。ヒカリメダカやヒカリダルマはしりビレと背ビレが同じ形をしていますので、どちらかを見て判別してください。


産卵時期
メダカは屋外飼育の場合、春〜秋(4月〜10月頃)にかけて産卵をします。それは、水温と日照時間が大きく関わっています。メダカは水温18℃以上、日照時間が12〜13時間以上の環境下で産卵を行います。地域によって差はありますが、4月頃より上記の条件が整いだし、10月頃まで産卵を行います。 11月〜3月の寒い時期でも、室内でヒーター等を使用し、夏のような環境を作れば産卵をします。その場合、水温は25℃〜28℃くらいに設定し、照明を13時間以上点灯させてください。


産卵
メダカにも相性があり、この相性が合わないと卵は全く産みません。逆に相性が合った場合にはオス1匹、メス1匹の交配でも、毎日卵を産みます。効率よく繁殖をさせるにはオスメスを合わせて5〜10匹はいた方が良いでしょう。オスメスの割合は、5匹の場合はオス2匹メス3匹、10匹の場合はオス4匹、メス6匹というように、メスが多い方が理想です。上記にも書きましたが、メダカは水温18℃以上、日照時間が12〜13時間以上の環境下で産卵を行います。 また、栄養も産卵のためには非常に重要で、エサをしっかり与えていないと産卵をしなかったり、産卵数が減ったりしますので、日頃の餌やりを大事にしてください。水槽内に水草や採卵道具が入っている場合は、そこに卵を付着させます。産まれた卵をそのままにしておくと、孵化した稚魚は親メダカに食べられてしまいます。水草等に産み付けられた卵は、水草ごと別の容器に移してください。ダルマメダカやスモールアイなど、産着の下手な品種は底に産み落とす事がありますので、親メダカを別の水槽に移し、卵だけを水槽内に残して孵化させるというやり方もあります。


産卵を観察する
メダカの産卵は夜明け前より始まり、日の出の明るくなる時には終わっています。産卵を観察したい場合には、夜の間に黒い布などをかけて真っ暗にし、夜中の状態を作ります。翌朝、黒い布をはずすとその時点から求愛行動を始め、産卵を行う可能性があります。


孵化
産まれた卵が孵化するまでの日数には水温が大きく関係しています。水温が高ければ早く孵化し、低ければ孵化までに時間がかかります。卵が孵化するおおまかな日数を計算する積算温度という方法があります。メダカの積算温度は250℃日(水温(℃)×日数(日)=250℃日)とされており、例えば、水温が25℃の場合は約10日で孵化をし、水温が20℃であれば12〜13日かかるということです。


孵化したメダカの世話
卵を分けた水槽に、ある日、針の先のようなとても小さい生き物が泳いでいます。それがメダカの稚魚です。稚魚はお腹に栄養の袋(ヨークサック)を持っているため、産まれて3〜4日間はエサを食べなくても生きていけます。ヨークサックが無くなる3日目あたりからエサを与えてください。エサは稚魚用の人工エサを与えます。できるだけ粒の細かいパウダー状のものがオススメです。 この時期のエサは非常に重要で、エサが足りないと成長に支障をきたす可能性がありますので、エサは十分に与えましょう。しかし、エサの食べ残しには注意が必要ですので、できれば1日に数回(4〜5回くらい)に分けて少量ずつを与えるのが理想です。


病気
メダカがかかりやすい病気は「白点病」、「水カビ病」、「尾ぐされ病」などがあります。「白点病」は体に白い点々のようなものが付きます。「水カビ病」は頭部や口先、ヒレなどに白い線のようなカビが付きます。「尾ぐされ病」はヒレがささくれたり、溶けたりします。いずれの場合も、初期段階であれば治療が可能です。 症状が進み、重症化した場合の治療は難しくなります。治療法は市販の魚病薬を使用するか、粗塩を使用します。粗塩は0.3から0.5%の塩分濃度になるように塩水を作り、そこに病気のメダカをいれて塩水浴させます。病気の原因となる菌は高温になると活動が鈍るため、水温は28℃位までに上げてください。